公論サポーター・メーリスから
『よしりん御伽草子』の
感想ご紹介です!!
関東のカバキューです。
やっと読み終わりましたので投稿します。
【全体:総括】
まずパラパラめくってみただけで「絵の圧がすごい」、これは一気見ではなく一話ずつじっくり読まなければと思い読みました。
核は「ももたろさん」ですね。各収録作品の並び順が絶妙で、よく考えられていると思いました。
元話はどれも好きで子供たちによく読み聞かせていました(かぐや姫などの不思議で奇妙な内容の昔話が特に好きでした)。よしりんの昔話セレクトにセンスが感じられます。
「よしりん御伽草子」は濃厚な絵と内容で万人受けはしないかもしれませんが、これが刺さる人に熱狂的に支持される、稀有な作品だと思います。
【全体:子供に見せるか否か】
小1向け含む全ての漢字にフリガナが振られているのを見て、「全世代に読ませる気満々じゃん笑」。私が子供に読み聞かせる立場であれば(残念ながら実際の子供たちはもう大きいです)、「ももたろさんは子供は見てはいけない」と言って飛ばします。子供たちは後でこっそり背徳感たっぷりに「ももたろさん」を覗き見て、よしりんの毒で鍛えられれば良いと思います。
※以下、各収録作品について(ネタバレが多々あります)。
【かぐや姫】
かぐや姫の顔が可愛い(最終フェイスとの落差がえぐい)です。内容は元話から更に奇妙(ナンセンス)になっていてギャグが炸裂しています。
【かさじぞう】
元話の隙間を埋めつつ、所々に爆笑とホロリをちりばめて納得の一本に仕上がっています。白黒(少量の控えめなカラー付き)の絵も抜群です。
【ばば汁子守歌・かちかち山】
私が読んだ元話の導入部は「撲殺→ばば汁」でしたが、表現が具体的でなかったのでそれほど残酷だと思いませんでした(よしりんは想像力が豊かすぎたのだと思います)。よしりん版「かちかち山」は表現がすごいです(ウサギやタヌキの表情、コマワリ線の代わりに使われる文字や記号、色鉛筆によるち密な描写)。内容は普通の「かちかち山」かと思っていると、途中からよしりんならではの風刺が込められていて爆笑です。
【ももたろさん】
内容・絵ともに圧巻で、名作だと思います。わしズム掲載時も読みましたが今でも衝撃(笑撃)です。この毒に耐えられない人がいると思いますが、昔はドロドロした漫画(妖怪人間、ゲゲゲの鬼太郎など)がありましたよね。
【うらしまたろさん】
極彩色の竜宮城シーンから哀れなラスト、オーラスの見開きまでの流れが哀愁を誘います。「よしりん辻説法・恋愛論」のような、大人の教訓が含まれている(?)と思います。
「子供に見せるか否か」問題について、
「子供があとで自らこっそり覗き見るようにする」
というのはなかなか巧妙なご意見です!
子供がこっそり盗み見て、
大人がそれをある程度黙認する
というグレーゾーンな世界というのも
あっていいというか、あるべきですね。